AI支援で発見された複数の創薬候補が、2026年にPhase III臨床試験という重要なマイルストーンに到達しています。製薬業界が長年抱えてきた約90%という高い失敗率を、AIが改善できるかどうかの初の大規模検証年となることが注目されています。
その代表例がzasocitinibです。もともとNimbus TherapeuticsとSchrödinger社の協業で発見されたこのTYK2(チロシンキナーゼ2)阻害剤は、現在武田薬品工業によって臨床開発が進められています。AI支援による物理ベースの分子設計戦略を用いて創出されたこの薬剤候補は、尋常性乾癬を対象とした2つのPhase III試験で主要評価項目を達成しました。16週目で半数以上の参加者が皮膚の完全またはほぼ完全な改善を達成し、2026年中に米国FDAおよび各国規制当局への承認申請が予定されています。
Schrödinger社の計算設計戦略がPhase III臨床試験まで到達した実証例として、zasocitinibはAI創薬の可能性を示す象徴的な存在となっています。Hacker Newsでは「計算設計戦略の実証例として注目すべき」との声が上がり、X上では「AI創薬は過大な期待を乗り越え、初めて臨床的に意味のある転換点を迎えている」との見方が示されています。
ただし、1件の成功事例だけでは業界全体の失敗率改善を判断することはできません。2026年には他にも複数のAI発見薬がPhase III結果を出す予定であり、これらの集合的な結果が、AIが本当に創薬成功率を向上させられるかどうかの評価材料となるでしょう。創薬のパラダイムシフトが起きるかどうか、今年の結果に業界の注目が集まっています。