2026年、米国のAI規制は大きな転換点を迎えています。テキサス州の「責任あるAIガバナンス法(TRAIGA)」が1月1日に施行され、コロラド州のアルゴリズム差別規制法も2月1日に発効しましたが、トランプ大統領が2025年12月に署名した行政命令により、州法の執行をめぐる不確実性が高まっています。
テキサス州のTRAIGAは、AI開発・展開に関する包括的な規制フレームワークを構築するもので、行動操作や差別的AI、児童ポルノやディープフェイクの作成・配布、憲法上の権利侵害を目的としたAIシステムの開発・展開を禁止しています。違反した場合、是正可能な違反で1件あたり1万〜1万2000ドル、是正不能な違反で8万〜20万ドルの罰金が科されます。一方、コロラド州法は「高リスク」AIシステムによるアルゴリズム差別から消費者を保護することを目的としていますが、業界からの反発を受けて施行が6月末まで延期されました。
トランプ大統領の行政命令「人工知能に関する国家政策フレームワークの確保」は、州レベルのAI規制に真っ向から対立する内容です。司法省内に「AIリーガルタスクフォース」を設置し、州際通商への違憲な規制や連邦法との抵触を理由に州法に法的挑戦を行う方針を示しています。さらに、420億ドルのブロードバンドインフラ資金を、「過度な」AI規制を撤廃した州にのみ配分するという条件も付けられました。Hacker Newsでは「規制のパッチワーク状態に企業が困惑している」との声が上がり、統一的な連邦法を求める意見が見られます。X上では、司法省のタスクフォースが州法に挑戦する動きに対し、AI企業は様子見姿勢を取っているとの指摘もあります。
連邦政府と州政府のAI規制をめぐる対立は、今後の訴訟や立法動向次第で大きく変化する可能性があります。企業にとっては、複数の規制に対応するコンプライアンス負担が課題となりそうです。