チューリング賞受賞者であるYann LeCun氏が率いるAdvanced Machine Intelligence Labs(AMI Labs)が、10.3億ドル(約1,550億円)のシードラウンドをクローズしました。プレマネー評価額は35億ドルで、欧州史上最大のシードラウンドとなります。設立からわずか4ヶ月での快挙です。
LeCun氏は2025年11月、10年以上リーダーを務めたMeta AIを離れました。大規模言語モデル(LLM)は「物理世界の理解や行動計画の能力を欠いている」として、予測モデルがAGI(汎用人工知能)には至らないと主張してきた人物です。AMI Labsはその思想を体現し、LeCun氏が2022年から提唱してきた「JEPA(Joint Embedding Predictive Architecture)」アーキテクチャに基づく世界モデルの開発に取り組みます。JEPAは表面的な外観の再構築ではなく、抽象的な表現空間で予測を行うことで「世界がどう変化するか」の本質を学習するアプローチです。
経営陣にはMetaの欧州担当VPだったLaurent Solly氏がCOOとして参画し、チーフサイエンスオフィサーにSaining Xie氏、チーフリサーチ&イノベーションオフィサーにPascale Fung氏、ワールドモデル担当VPにMichael Rabbat氏が就任しています。投資家陣もCathay Innovation、Greycroft、Hiro Capital、HV Capital、Bezos Expeditionsがラウンドを共同リードし、WWWの発明者Tim Berners-Lee夫妻、Jim Breyer、Mark Cuban、Eric Schmidtらも個人参加しています。
X上では「Yannがついに自分のビジョンを証明するチャンスを得た」「世界モデルは大きな飛躍になる」との期待の声が寄せられています。Hacker Newsでは「オートリグレッシブLM+RLHF+ツール使用という現状のパラダイムへの対抗軸」として注目されており、産業用ロボティクス、ヘルスケアなどLLMの限界が顕著な領域での応用が期待されています。