← 2026-03-25
Research Community 2026-03-25 Source →

100年来の物理学難題を6時間で解決、THOR AIが従来比400倍の高速化を実現

ニューメキシコ大学とロスアラモス国立研究所の研究チームが開発したAIフレームワーク「THOR」が、材料科学における100年来の計算問題を従来の400倍以上の速度で解決することに成功しました。これまで2,560時間(約107日)を要していた錫の相図計算が、わずか6時間未満で完了するという画期的な成果です。

THORは「Tensors for High-dimensional Object Representation」の略称で、テンソルネットワーク数学と機械学習を組み合わせた新しい計算アプローチを採用しています。従来の分子動力学シミュレーションでは、原子の挙動を予測するために膨大な計算時間が必要でした。特に錫のような複雑な固体間相転移(結晶構造が別の結晶構造へと変化する現象)を持つ材料は、正確なモデル化が極めて困難とされてきました。

研究チームによると、THORは「テンソルトレイン交差補間」と呼ばれる数学的手法を用いて、配位積分(configurational integral)を直接計算します。これは従来のシミュレーションや近似手法とは根本的に異なるアプローチであり、開発者は「世紀単位のシミュレーションと近似を第一原理計算に置き換えた」と述べています。さらに、材料内の結晶対称性を自動検出する特殊なアルゴリズムも開発され、計算効率の向上に貢献しています。

X(旧Twitter)では「材料科学、物理学、化学での発見を加速する可能性がある」と期待の声が上がっており、Hacker Newsでも第一原理計算への回帰が注目されています。この技術は新素材開発や半導体設計など、幅広い産業応用が見込まれます。

関連リンク