← 2026-03-25
Research Community 2026-03-25 Source →

新AIフレームワーク「THOR」、テンソルネットワークで100年来の物理学難題を数秒で解決し従来手法の400倍高速化を実現

研究者チームは、テンソルネットワーク数学と機械学習を組み合わせた新しいAIフレームワーク「THOR(Tensors for High-dimensional Object Representation)」を開発し、材料内の原子挙動計算において100年来の難題を数秒で解決することに成功したと発表しました。従来のスーパーコンピュータで数週間を要していた熱力学特性計算を、精度を維持しながら400倍高速化しています。

THORが取り組んだのは、配位積分(configurational integral)と呼ばれる粒子間相互作用を捉える計算で、材料科学において極端な圧力下や相転移を含む応用では評価が非常に困難でした。従来の手法では近似計算に頼らざるを得ませんでしたが、THORは「テンソルトレイン交差補間(tensor train cross interpolation)」という数学的戦略を用いて計算を圧縮し、さらに材料内の結晶対称性を検出する専用バージョンを開発することで、必要な計算量を劇的に削減しています。研究チームは銅などの金属、結晶状態のアルゴンといった極端な圧力下の希ガス、スズの複雑な固体-固体相転移など、複数の材料システムでTHORをテストし、精度を犠牲にすることなく大幅な高速化を確認しました。

Hacker Newsでは「100年来の近似計算を第一原理計算(first-principles calculation)に置き換える画期的な成果」として注目を集めています。Xでも「材料科学・化学分野でのAI活用の新たなマイルストーン」との声が上がっており、基礎研究から産業応用まで幅広い影響が期待されています。THORプロジェクトはGitHubで公開されており、研究者コミュニティでの活用が進む見込みです。

材料科学におけるAIの可能性を示す重要な成果であり、新素材開発や物性予測の加速に貢献することが期待されます。

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