← 2026-03-28
Research Community 2026-03-28 Source →

THOR AIが100年来の物理学問題を秒単位で解決、材料科学のシミュレーションを400倍以上高速化

ニューメキシコ大学とロスアラモス国立研究所の研究チームが開発したAIフレームワーク「THOR」(Tensors for High-dimensional Object Representation)が、材料科学における100年来の難問を解決しました。従来は数千時間を要していた配位積分(configurational integral)の計算を、精度を犠牲にすることなく秒単位で完了させることに成功しています。

配位積分は、材料中の粒子間相互作用を捉える極めて重要な計算ですが、特に極端な圧力下や相転移を伴う材料科学の応用では評価が困難でした。研究者たちは何十年もの間、分子動力学法やモンテカルロシミュレーションといった間接的な計算手法に頼らざるを得ませんでした。THORは「テンソルトレイン交差補間」という数学的戦略と、結晶対称性を検出する独自の手法を組み合わせることで、計算量を劇的に削減しています。

Physical Review Materialsに掲載された論文によると、研究チームは銅などの金属、結晶状態のアルゴンなど極端な圧力下の希ガス、そしてスズの複雑な固体-固体相転移でTHORをテストしました。いずれのケースでも、ロスアラモスの高度なシミュレーションで得られた結果を再現しながら、400倍以上の高速化を達成しています。Hacker Newsでは「テンソルネットワークと機械学習の組み合わせが従来のシミュレーションを完全に置き換える」との期待が寄せられる一方、Redditでは「より複雑な材料での有効性」を問う声も上がっています。

この成果は、材料の熱力学的・機械的挙動の第一原理計算への道を開くものであり、新素材開発の加速に大きく貢献することが期待されます。

関連リンク