2026年3月11日、「Hunter Alpha」と名付けられた謎のAIモデルが開発者名不明のままOpenRouterに無料公開されました。ドキュメントも、マーケティングも、所属情報も一切なし。しかしその正体は3月18日に明かされ、スマートフォンメーカーとして知られるXiaomiのAI部門「MiMo」が開発した1兆パラメータの大規模言語モデルMiMo-V2-Proでした。元DeepSeek研究者の羅浮力(ルオ・フーリー)氏が率いるMiMoチームが、製品テストを兼ねた異例のステルスリリースを仕掛けた形で、AIコミュニティ全体を巻き込むミステリー劇となりました。
Hunter Alphaが公開された直後から、その推論品質の高さにAI開発者たちが驚き、「これはDeepSeekの新作ではないか」という憶測がX上で急速に広まりました。根拠は二つ——羅浮力氏の元DeepSeek在籍歴と、当時コミュニティで「DeepSeek V4」の存在がささやかれていたこと。結果としてHunter Alphaは週間5,000億トークンを処理し、OpenRouterの日次利用ランキング首位に立ち続け、正体判明前に累計1兆トークンを突破するという、AIモデル史上最も成功したステルステストを達成しました。
X上では「誰が作ったのか分からない1兆パラメータモデルがOpenRouterに無料で現れた」という投稿が急速に広まり、AIコミュニティでミステリー探偵ゲームの様相を呈しました。Redditでは正体が明らかになる過程がスレッドでリアルタイムに追跡され、「中国のAI開発の奥深さを再認識した」という声が多く見られました。Hacker Newsでは「匿名でフロンティアモデルをリリースする手法の狙いは何か」を議論するスレッドが展開され、マーケティング戦略としての有効性を分析するコメントが見られました。
MiMo-V2-Proは総パラメータ数1兆超のMixture-of-Experts(MoE)アーキテクチャで、推論時には420億パラメータをアクティブ化します。コンテキストウィンドウは100万トークン、SWE-bench Verified(実際のソフトウェアエンジニアリングタスクの解決能力テスト)では78.0%を記録しClaudeに1.6ポイント差まで迫っています。価格は入力100万トークンあたり1ドル・出力3ドルとClaude比で3〜5分の1という水準です。XiaomiはMiMo-V2-Proと合わせて、マルチモーダルモデルのMiMo-V2-Omniとテキスト読み上げ(TTS)モデルのMiMo-V2-TTSも同時発表しており、スマートフォンからフロンティアAIへという同社の事業転換が本格化していることを示しています。