複数の研究グループが機械学習アルゴリズムを用いて、アルツハイマー病・がんの治療薬候補化合物の有効性を実際の臨床試験前に予測することに成功したと発表しました。従来の創薬プロセスでは候補化合物の9割以上が臨床試験で失敗するとされており、AIによる事前スクリーニングが成功率向上とコスト削減に貢献する可能性として注目されています。
DeepMindのAlphaFoldがタンパク質の立体構造予測を「解決済み」の問題にしたように、機械学習は創薬の各フェーズに革命をもたらしつつあります。今回の成果は、候補化合物の化学構造とタンパク質の結合様式を学習したモデルが、in vitro(試験管内)やin vivo(生体内)データなしに薬効を予測するというものです。
X上では「AlphaFoldでタンパク質構造予測、次は薬効予測。AIが生物医学の問題を次々と解いていく様子は歴史的な転換点を見ている感じがする」という投稿が多くの共感を集めました。r/scienceでは「予測精度の詳細がまだ不明で過大評価されている可能性がある」という慎重な声と「それでも従来手法より遥かに効率的」という評価が混在しており、独立した再現実験の結果を待つべきとの意見もあります。
Hacker Newsでは「創薬AIのROIは明確なので投資が集中しやすい。あとは規制当局がどこまでAI由来の臨床データを受け入れるかが課題」という実務的な議論がスレッドのトップに挙がりました。実際、FDA(米食品医薬品局)はAIを活用した薬物開発プロセスのガイドライン整備を進めており、規制面での整備が普及の鍵を握ります。
創薬は1つの新薬を市場に届けるまでに平均12年・10億ドル以上かかるとされる産業です。AIが候補化合物の絞り込みを大幅に効率化できれば、希少疾患や難治性がんを含む多くの疾患で治療選択肢が拡大する可能性があります。ただし、コンピューターの予測と生体の複雑な応答の間には依然として大きな溝があり、AIはあくまで研究プロセスの加速ツールとして位置づけることが重要です。