← 2026-04-07
Research Community 2026-04-07 Source →

ハワイ大学が「物理法則を守るAI」の新アルゴリズムを開発——流体力学・気候モデリングの精度向上に期待

ハワイ大学マノア校(University of Hawaiʻi at Mānoa)の研究チームが、AIが物理法則を遵守しながら複雑なシミュレーションを実行できる新しいアルゴリズムを発表しました。「物理情報機械学習(PIML: Physics-Informed Machine Learning)」を大幅に進化させたこの手法は、流体力学シミュレーションや気候モデリングにおける予測精度を従来手法と比べて大幅に改善するとしており、気候変動研究への応用に大きな期待が寄せられています。

従来の機械学習モデルは大量のデータから統計的なパターンを学習しますが、ニュートンの運動方程式やナビエ=ストークス方程式(Navier-Stokes equation、流体の運動を記述する偏微分方程式)といった物理法則を「知識として持っている」わけではありません。そのためデータが少ない領域や極端な条件下では物理的にあり得ない予測を出してしまう問題がありました。ハワイ大チームのアルゴリズムはAIの学習プロセス自体に物理制約を組み込むことで、この問題を根本的に解決するアプローチをとっています。研究チームによると、大気循環モデルの10日予測において誤差が従来比で約30%低下したといいます。

X上では気候科学者コミュニティから「AI×物理の融合が気候モデリングに革命をもたらす」と歓迎の声が上がりました。気候変動のメカニズム解明には精度の高い大気・海洋シミュレーションが不可欠であり、現行の気候モデルが抱える不確実性を縮小できれば、政策立案に直結する予測の信頼性向上につながります。

今後の課題は計算コストとスケーラビリティです。物理制約を組み込む分だけ学習に要するリソースが増加する傾向があり、グローバルスケールの気候モデルへの適用には追加の工夫が必要とみられています。それでも「データ駆動型」と「物理原理」の両立を実現するこのアプローチは、気候科学にとどまらず材料科学・航空宇宙工学・核融合研究など幅広い科学分野に波及する可能性があります。

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