← 2026-04-08
Industry & Business Community 2026-04-08 Source →

EU AI法の高リスクAI規定、2027〜2028年まで施行延期へ — Digital Omnibusで最大24ヶ月の猶予

欧州委員会が2025年11月に発行した「Digital Omnibus on AI」が、EU AI法(AI Act)の高リスクAIシステムに関する主要規定の施行を大幅に延期する提案を含んでいることが明らかになりました。当初2026年8月2日に適用予定だった要件が、最長2028年8月2日まで最大24ヶ月先送りされる見通しです。

施行延期の背景と具体的なタイムライン

欧州委員会の説明によると、延期の最大の理由はCEN/CENELECが策定する整合規格(技術標準)の遅延です。各企業が規制に準拠するためには整合規格の確定が前提ですが、その規格が2025年8月の期限までに完成しなかったため、実質的に企業が対応できる状況ではなくなっていました。具体的には、重要インフラ関連のAnnex IIIシステムは2027年12月2日まで、規制対象製品に組み込まれるAIシステムは2028年8月2日まで猶予が与えられます。また、2026年8月以前にリリースされた生成AI(Generative AI)システムには、透明性義務への準拠期限として2027年2月2日まで追加の6ヶ月が与えられています。

この提案はデジタル単一市場の競争力と産業界の実装コストへの配慮を反映したものと分析されており、X上では「規制推進派からは後退を批判する声が上がる一方、業界からは現実的な対応として評価する声も。米中との競争を背景とした判断との分析が多い」という構図の議論が展開されています。欧州議会では2026年3月にMEP(欧州議会議員)の多数がこの延期案を支持する決議を採択しました。

SMEへの配慮と今後の見通し

今回のDigital Omnibusには中小企業(SME)向けの文書要件簡素化も含まれており、規制対応コストが相対的に重くのしかかる中小企業への配慮が示されています。ただし、整合規格が2026年12月までに確定した後も、企業がそれぞれの規格に準拠するまでには6〜12ヶ月の移行期間が必要とされており、AIシステムの実際の展開スケジュールへの影響は引き続き注視が必要です。欧州のAI規制が「厳格な基準設定」から「段階的・実用的な実装」へと軸足を移しつつあるなかで、この延期がグローバルなAIガバナンスの方向性にどう影響するかが今後の注目点となっています。

関連リンク