Metaは4月8日、Scale AIの創業者Alexandr Wang氏が率いる「Meta Superintelligence Labs」が開発した初のAIモデル「Muse Spark」を発表しました。GPT-5.4やClaude Sonnet 4.6と同等水準のベンチマーク性能を主張するこのモデルは、Facebook・Instagram・WhatsAppなどMeta製品への順次統合が予定されています。一方でLlamaシリーズで築いてきたオープンソース路線から事実上離れ、プロプライエタリモデルとしてリリースされたことが開発者コミュニティから強い批判を受けています。
TechCrunchの報道によると、MetaはScale AIに143億ドルを投資し49%の株式を取得。AIデータラベリング企業の創業者であるAlexandr Wang氏を招き入れ、「Meta Superintelligence Labs」を立ち上げました。同ラボが世に送り出した最初のモデルがMuse Sparkです。Bloombergによれば、同モデルは「AIの根本的刷新に向けた第一歩」と位置づけられており、Metaが本格的なAGI(汎用人工知能)競争に参入する意思表示とも受け取られています。
Muse Sparkの最大の論点は、Llamaで育んできたオープンソースの哲学との決別です。Metaはこれまで、LlamaシリーズをオープンソースとしてリリースすることでAI研究コミュニティとの信頼関係を築いてきました。しかしMuse Sparkはプロプライエタリとして提供され、「将来的にオープンソース版を公開する予定」というコメントに留まっています。r/LocalLLaMAでは「Llamaで事業を構築した開発者が裏切られた」「『将来的に公開予定』はお茶濁し」という猛反発が起き、X(旧Twitter)では「Alexandr WangがオープンソースAIを殺した」という批判投稿が多数拡散しました。
MetaはMuse Sparkのリリースにあわせ、「Llamaシリーズは継続する」とも明言しています。ニューヨーク大学上海校の研究者によるまとめでは、「Metaはオープンソースを諦めたわけではなく、プロプライエタリモデルの競争力を並行して追求するデュアル戦略を採っている」という分析が示されています。Hacker Newsでは「MetaのオープンソースはもとよりPR戦略だったのでは」という本質的な疑問と、「競争が激化するなか、完全オープンソースを維持し続けるのは無理」という現実論が真っ向から対立しています。
Wang氏は「MetaをAnthropicやOpenAIへの対抗勢力にする」という目標を掲げており、より多くの一般ユーザーにAIを届けるという使命を強調しています。Muse SparkがMeta製品に統合されれば、月間30億人以上のユーザーベースへリーチできることになります。技術的な性能比較だけでなく、オープン性と商業的競争力のバランスをどう取るかという問いが、今後のMetaのAI戦略の核心となりそうです。