AI関連の利益団体・企業が2026年の米中間選挙に総額3億ドル超を投じていることが明らかになっています。その中でも注目を集めているのがAnthropicの動きです。同社は「Public First Action」と呼ばれるPAC(政治活動委員会)に2000万ドルを拠出し、各州のAI規制権限を守る候補者の支援を目的とした選挙活動を展開しています。
これまでシリコンバレーのロビー活動は「規制緩和」で一枚岩になることが多かった中、今回はAI業界の内部で路線が明確に二分されています。Anthropicが規制促進側に資金を投じる一方、OpenAI共同創業者のGreg Brockman、Palantir共同創業者のJoe Lonsdale、Andreessen Horowitzらが支援する超党派PAC「Leading the Future」は既に1億2500万ドルを調達し、連邦レベルでの一元管理・規制最小化を訴えています。
NBCニュースの調査報道によると、AI企業が資金提供した政治広告はAI自体とは直接関係のないテーマ(経済・安全保障・移民)で大量に流れており、有権者が「AI企業による広告」と認識しにくい形での影響力行使が進んでいます。さらにAnthropicはFECへのPAC登録(AnthroPAC)も正式に行っており、政治活動の透明性確保という観点から注目されています。
X(旧Twitter)では「Anthropicが規制推進に2000万ドル——業界内部でAIガバナンスの方向性を争っている」という見出しが広がっています。r/politicsでは「大手は規制でスタートアップへの参入障壁を作ろうとしている面もある」という冷淡な見方も出ており、Hacker Newsでは「Anthropicの2000万ドルが誠実な取り組みなのかPRなのか判断しにくい。しかし規制側に業界が資金を入れるのは前例が少ない」という複雑な評価が共感を集めています。
フロンティアAIモデルの安全性・責任問題が選挙争点として定着しつつある中、業界が自ら規制のあり方を政治プロセスに持ち込もうとしていることは、AI政策史において重要な転換点といえます。中間選挙の結果次第で、連邦レベルのAI規制の骨格が大きく変わる可能性があります。