OpenAI CEOのSam Altmanは4月6日、13ページの政策文書「知性の時代の産業政策:人間を中心に据えるためのアイデア(Industrial Policy for the Intelligence Age)」を公表しました。AI自動化による雇用喪失への対処として、資本課税の強化・公的富裕基金の設立・週4日労働(賃金カットなし)の導入促進という3本柱の政策提言を盛り込んでいます。
提言の根幹は、労働から資本へ税負担を移すという考え方です。具体的には、キャピタルゲイン税の最高税率引き上げ、法人税の増税、そして自動化に伴う「ロボット税」の導入が挙げられています。これらで得た収益を「公的富裕基金(Public Wealth Fund)」に積み立て、株式市場に投資していない市民にもAI成長の恩恵が届く仕組みを構築するとしています。
さらに、雇用主と労働組合に対して賃金を維持したまま週4日労働を導入することを促す政策も提案しています。AI効率化で生まれた生産性の向上を労働時間の短縮という形で労働者に還元する発想です。Altmanはインタビューでこの変化の規模をプログレッシブ・エラ(進歩主義時代)やニューディールになぞらえ、同等レベルの社会的介入が必要だと述べています。
X(旧Twitter)では「最も多くの雇用を脅かしている企業のCEOが自動化税を提唱するとは皮肉だ」という反応が広まりました。r/economicsでは「政策内容自体は良いが、OpenAI自身が税を払わずに提唱している点が問題だ」という批判的なコメントが上位に並んでいます。Hacker Newsでも「Altmanが自動化の恩恵を享受しながら社会コストを外部化している構造を変えるには、提言より規制が先だ」という意見が支持を集めました。
なお、この提言が公表された数日後の4月12日(米国時間)、Altmanの自宅に放火未遂事件が発生したと報じられており(SF Standard)、AI企業への社会的反発が極端な形で表れる事態も起きています。提言の内容が本物の変革につながるのか、それとも批判が指摘するように「AIコストを社会に外部化しつつ善意を演じるPR」なのか——今後の行動が問われる局面です。