Elon Musk率いるxAIが、Grok 5の公開ベータを2026年5月〜6月に実施する計画を示唆しています。MoEアーキテクチャ(Mixture of Experts:複数の専門家モデルを組み合わせる手法)を採用し、総パラメータ数6兆という史上最大規模を予告。150万ワット・55万基以上のNVIDIA Blackwellチップで構成される巨大計算クラスターでの訓練が2026年4月下旬に完了したとされており、xAIはGrok 5でのAGI(汎用人工知能)達成も目標に掲げています。
現在主要なモデルが数千億〜1〜2兆パラメータ規模であることを踏まえると、6兆という数字は桁違いです。ただし、MoEアーキテクチャでは「総パラメータ数」と「一度の推論で実際に使われるアクティブパラメータ数」が大きく異なります。DeepSeek V4も1.6兆パラメータながらアクティブは490億と全体の3%程度でした。Grok 5が同様の設計であれば、実際の計算コストは総パラメータ数ほど膨大ではない可能性があります。150万ワットというクラスターの消費電力は中規模都市の電力需要に相当し、AIの電力消費問題が改めて注目を集めています。
X(旧Twitter)ではElon Musk本人による示唆的な投稿がたびたび拡散し、「Grok 5がGPT-5.5を超えるか」という比較論が活発に展開されています。ただし予測市場のPolymarketでは2026年6月末までのリリース確率が33%に留まっており、期待と懐疑が入り交じる状況です。
Redditのr/MachineLearningでは「6兆パラメータという規模が実際に性能向上に繋がるか」についての議論が活発で、過去のGrokシリーズのリリース遅延の経緯から懐疑的な見方も根強くあります。Hacker Newsでは「パラメータ数の競争はすでに意味を失っている」という意見が上位に挙がり、実際の性能・効率性・APIアクセスコストで評価すべきとするコメントが多くのポイントを集めました。
xAIがAGI達成を目標として掲げることは、単なる技術目標というよりマーケティング的な側面も見逃せません。AIコミュニティにはAGIの定義自体についての合意が存在せず、「AGIを達成した」という主張は測定が困難です。一方で、OpenAIのサム・アルトマンも「AGIが近い」と繰り返しており、業界全体がAGI談義で注目を競い合っている状況と言えます。Grok 5が実際にリリースされた後の実性能評価こそが、すべての判断材料になりそうです。