中国の国家発展改革委員会(NDRC)は2026年4月末、Metaによる中国AIスタートアップManusの約20億ドル(約3,000億円)での買収を阻止し、契約解消を命令しました。Manusは2025年に登場した自律型AIエージェントで、複雑なウェブタスクを自動実行できるとして世界的な注目を集めていました。今回の阻止決定は、米中のAIエコシステム分断が技術開発だけでなくM&A(企業合併・買収)レベルにまで及んできたことを鮮明に示しています。
ManusはDeepSeekと並んで「中国発のグローバルAIプロダクト」として認知度を急速に高めており、米国での利用者も多数獲得していました。Metaがこのスタートアップの獲得を試みたのは、エージェント型AI分野での競争力強化が目的とみられます。しかしNDRCは、国家安全保障と戦略的技術の流出懸念を理由に審査を行い、最終的に買収不可の判断を下しました。中国政府が自国発の有力AIスタートアップを外資系企業に売却させないための介入は、2024年の半導体輸出規制強化以来、技術ナショナリズムがさらに深化していることを示す事例です。
X(旧Twitter)では「中国がAI技術の流出を阻止している」という解釈が広まり、米中のデカップリング(切り離し)が技術取引にも波及したとする分析が多数シェアされました。r/geopoliticsとr/technologyではMetaのAI戦略に与える影響と、今後の国際AI技術移転への懸念が議論され、Hacker Newsでは「両国が戦略的技術の支配を争う構図は2024年の半導体規制の延長線上」とするコメントが多くの共感を得ました。
Metaにとっては有力なエージェントAI技術の獲得機会を失うことになりますが、同時にこの事件は他のグローバル企業にとっても中国発AI企業の買収リスクを改めて示すものとなっています。今後は中国のAIスタートアップが「中国外での活動を分離した法人を設立して外資の出資を受ける」という構造が増える可能性もあり、技術デカップリングと資本デカップリングが組み合わさることでグローバルなAI産業地図が大きく塗り替わりそうです。