AIセールス自動化スタートアップのArtisanが、インターネットミーム「This is fine」の炎上する部屋に座る犬のキャラクターを改変し、地下鉄広告キャンペーンに無断使用していたことが判明しました。原作者のKC Greenは公式の許可も報酬も受け取っていないとして、SNSで公開批判を行っています。
Artisanの広告では、犬のキャラクターに「[M]y pipeline is on fire(パイプラインが燃えている)」と言わせており、AI営業代行サービス「Ava the AI BDR」の宣伝に使用していました。ミームの元ネタが「問題を直視せず現状を受け入れる」という自嘲的なユーモアであることを考えると、AIが仕事を奪う文脈でその作者が搾取されるという皮肉な構図になっています。法律専門家によると、ミームは著作権の扱いが複雑なケースが多いものの、商業目的での無断使用は著作権侵害に当たる可能性が高く、フェアユースの主張も難しいとされています。その後Artisanは「KC Greenへのリスペクトがある」と声明を出し、直接連絡する意向を示しました。
X上では「皮肉にもAI企業が『This is fine』を使う——この会社の状況はまったくfineではない」という批判的なウィットが広まりました。Redditでは「商業目的の無断使用は明らかにアウト。賠償リスクを理解していないのか」という冷ややかな視線が集まっており、Hacker Newsでは「AI業界全体のクリエイティブ著作権軽視の象徴的事件」として法的整備の遅れを指摘する声が上がっています。
AIが訓練データとして大量のクリエイター作品を使用してきた問題と、それを宣伝する広告まで著作物を無断使用するという今回の事件は、AI企業とクリエイターの関係性における根本的な緊張を改めて浮き彫りにしています。クリエイターの権利保護と、AIビジネスの拡大戦略をどう折り合わせるかは、2026年以降も議論が続く難問です。