ホワイトハウスが、AIの新モデルを公開前に政府が審査する制度を盛り込んだ大統領令の署名を2週間以内に行う見通しであることが、Axiosの報道で明らかになりました。Claude Mythosなどによって浮き彫りになったAIの国家安全保障リスクが背景にあり、テック企業幹部と政府当局者が参加する合同ワーキンググループ(WG)を設置する方向で調整が進んでいます。
今回の審査制度検討の直接的な引き金とされているのが、AnthropicのClaude Mythosです。主要OSやブラウザの脆弱性を自律的に数千件発見するというその能力は、国防や重要インフラを管轄する政府機関にとって無視できないリスク要因となりました。Axiosによると、特に中間選挙を前にしたサイバー攻撃リスクへの懸念が、規制議論を加速させているとされています。
WGにはOpenAI・Anthropic・Google・Microsoftなどのテック企業幹部が参加する予定で、単なる政府主導の規制ではなく産官の共同作業として制度設計が進む見込みです。X上では「規制が始まると中国との競争で不利になる」という意見と「安全保障上必要だ」という意見が激しく対立し、「AI企業幹部の参加は良い」と評価する声と「利益相反では」と懸念する声が拮抗しています。Redditのr/AIでは「審査の透明性が確保されるかどうかが鍵」というコメントが上位を獲得し、制度の中身を慎重に見極めようという論調が目立ちます。
Hacker Newsでは「政府審査が技術革新を阻害する可能性」を論じるスレッドが高スコアを記録しており、EUのAI法(AI Act)との比較コメントも多数見られました。EU規制が義務付けている透明性要件や高リスクシステムの事前認証と、今回の米国版審査制度がどう異なるのか、具体的な設計が注目されます。
米国はこれまで「イノベーション優先、規制は後追い」のスタンスを維持してきましたが、AIの軍事・安全保障領域への応用が現実のものとなった今、事前審査という発想が検討される段階に入りました。制度の透明性、審査基準の明確化、オープンソースモデルの取り扱いなど、細部の設計次第で産業への影響は大きく変わります。2週間以内とされる大統領令の署名後、その内容が業界の行動をどう縛るかに注目が集まっています。