EU理事会と欧州議会が2026年5月7日、AI法(AI Act)の改正に関する政治合意に達しました。合意の核心は、高リスクAIシステム(附属書IIIに列挙されたカテゴリ)に課される義務の履行期限を、当初予定の2026年8月から2027年12月へと16か月延期する方向で一致したことです。ただし、この合意はあくまでも政治的な取り決めに留まり、法的拘束力を持つ正式採択はまだ完了していないため、2026年8月の期限は現時点では依然として有効です。
欧州理事会の公式声明によると、今回の合意は企業側からの強い要望を受けたもので、特に医療診断システム・採用選考ツール・信用審査AIなど、附属書IIIに列挙された高リスクカテゴリに該当する製品の開発者が規制対応に十分な時間を確保できていないという実情が考慮されました。X(旧Twitter)では「EUがAI規制を緩和方向で修正したのはサプライズ。米国や中国との競争意識が背景にある」という分析が欧州テック界隈で広く拡散しました。Hacker Newsでは「法的拘束力がない政治合意の段階なので、8月の期限はまだ生きている。企業はコンプライアンス計画を変えるべきではない」という冷静な法律家視点のコメントが上位を占め、実務担当者に対して慎重な姿勢を促す声が際立ちました。
Redditのr/Europeでは「企業救済か、それとも市民保護の後退か」という問いをめぐって賛否が真っ二つに割れています。特に医療AIや雇用審査AIへの影響を懸念するコメントが目立ち、延期によって高リスクAI製品が規制の空白期間に市場で利用され続けることへの不安が表明されました。法的正式採択のスケジュールと、企業が実際にいつコンプライアンス計画を変更できるかの明確化が、今後の焦点となります。