Brookings研究所が発表した報告書によると、2026年の米連邦政府AI予算は72億ドルに達し、前年比966%の急増を記録しました。さらに潜在的な契約規模は918億ドルに上り、国防総省(DoD)が1319件の契約を締結して全体の98.9%を占めるなど、軍事AIへの資源集中が際立っています。
966%という増加率は、通常の政府予算の伸びとは次元が異なります。Brookingsの分析によると、この急増は主にトランプ政権の「AI覇権戦略」のもとで国防関連のAI調達が加速したことによるものです。ドローン制御、情報収集・分析、サイバー作戦の自動化、ロジスティクス最適化など、軍事ユースケースの幅広さが1319件という契約件数に反映されています。
潜在的契約額の918億ドルというのは、現在進行中または近未来に予定される調達を含む上限規模であり、すでに確定した72億ドルの12倍以上に相当します。AI関連予算がここまで急拡大した背景には、中国人民解放軍のAI軍事利用に対する強い危機感があります。X上では「966%増という数字が全てを物語っている。AI覇権争いはすでに軍事分野で始まっている。中国との差をこれで埋めようとしているのは明らか」という声が広まりました。
Redditでは「AIの軍事利用がここまで急拡大しているのに、まともな倫理的議論がされていない。国防総省が98.9%というのは民間・公共サービスへの応用が置き去りにされている証拠」という批判的なコメントが上位を占め、医療・教育・インフラなど非軍事分野へのAI投資の偏りを問題視する声も多くみられました。
米国のAI予算の構造は、英国や欧州諸国と大きく異なります。欧州ではAI法(EU AI Act)に基づく規制整備が先行しているのに対し、米国では軍事・安全保障領域の整備が圧倒的に速いのが現状です。自律型致死兵器システム(LAWS)の国際的な規制枠組みが未整備のまま投資だけが先行するリスクを、複数の安全保障専門家が指摘しています。72億ドルの使途の透明化と、議会による実質的な監視体制の強化が急務になっています。