OpenAI、Anthropic、GoogleのAI部門トップが、AIが生物兵器開発に悪用されるリスクについて米国議会に警告する書簡に連名で署名しました。合成核酸の注文に対する義務的スクリーニング(審査)と記録保持の義務化を議会に要請しており、競合する大手AI企業が業界横断的に一致した行動をとるという異例の事態が注目を集めています。
書簡が指摘するのは、AIがバイオエンジニアリングに関する専門知識の取得を著しく容易にするという点です。これまで生物兵器の製造には高度な専門教育と実験設備が必要でしたが、AIによる自然言語での質問応答や合成手順の生成能力が、その敷居を下げる可能性があるとしています。要請内容は、DNA合成業者などが受け取る核酸合成の注文を自動的にスクリーニングし、危険な配列の注文を検知・記録・報告するシステムの整備です。
Redditでは「競合他社のCEOが揃って議会に警告を発するのは異例。業界全体が自主規制を求めているようにも見えるが、規制参入障壁として機能するという見方もある」という冷静な分析が広まっています。強力なロビー活動によって自社に有利な規制の形を先取りするという「規制の捕捉」戦略との類似を指摘する声です。Hacker Newsでは「バイオセーフティの専門家からは『すでに既存のスクリーニングで対応可能』という反論もある。AI特有のリスクなのか既存のバイオリスクの延長なのかという議論が分かれている」との議論が活発です。
AI安全保障における業界の自主的な働きかけは、規制の方向性を決定づける力を持ちます。生物兵器リスクへの対応は明らかに重要な課題である一方、義務的スクリーニングの要件設計次第では革新的なバイオテクノロジー研究への影響も懸念されます。議会がどこまでの規制を採択するか、そのプロセスを業界がどう主導するかが今後の焦点となります。