上海に拠点を置くAI企業MiniMaxは2026年6月1日、フラッグシップモデル「MiniMax M3」をリリースした。SWE-Bench Proで59.0%を達成し、100万トークンのコンテキスト窓とネイティブマルチモーダル機能(画像・動画理解)を組み合わせた初のオープンウェイトモデルと主張している。価格はClaudeシリーズより大幅に安く、入力100万トークンあたり0.60ドルに設定されている。
The-Decoderやmarktechpostなどの報道によると、M3の技術的な柱は「MiniMax Sparse Attention(MSA)」と呼ばれる独自の注意機構アーキテクチャで、前世代のM2と比較して100万トークンコンテキスト時のデコード速度を15.6倍、プリフィルを9.7倍高速化しているという。コンテキスト窓はM2比で5倍の100万トークンとなり、大規模コードベース全体や長時間のエージェントセッションを一度に処理できるとされる。SWE-Bench Proの59.0%というスコアはGPT-5.5やGemini 3.1 Proを上回ると主張しているものの、Claude Opus 4.8(69.2%)には10〜13ポイント程度の差がある。一方で、最大の問題点として「オープンウェイト」と称しながらモデルの重みがリリース時点では公開されておらず、「リリース後10日以内に公開予定」とされていた点がある。重みが公開されない間は独立した検証が不可能であり、コミュニティから厳しい目が向けられた。
X上では「中国発オープンモデルがGPT-5.5に挑戦」として情報が拡散した一方、重みが非公開な点への批判も多く寄せられた。r/LocalLLaMAでは「中国の国家情報法による企業への協力義務リスクを理解した上でエンタープライズ採用を判断すべき」との慎重な意見が上位に並び、HackerNewsでは「重みを公開しないオープンモデルはオープンとは言えない」という議論がまとめられ、「オープンウェイト」と「オープンソース」の定義論争にまで発展した。
MiniMax M3は価格競争力と技術仕様の面で既存の商用モデルに真剣な挑戦を突きつけている。しかし、重みの実際の公開タイミングと独立検証の結果、そして中国法規制リスクへの企業の対応が、エンタープライズ採用の成否を大きく左右するだろう。