2026年6月4日、共和党のJay Obernolte下院議員と民主党のLori Trahan下院議員を中心とした超党派グループが、米国初の包括的連邦AI規制枠組みとなる「グレート・アメリカン・AI法(GAAIA)」の269ページに及ぶ議論草案を公開しました。フロンティアAI開発者に対する第三者監査義務・情報開示義務・ホイッスルブロワー保護などを定める内容で、大手AI企業の規制に対する姿勢を一変させる可能性を持っています。一方で最大の争点となっているのが、州のAI規制法を3年間停止する「プリエンプション条項」で、消費者団体・労働組合・下院民主党系委員会が公開直後から強く反発しています。
McDonald Hopkinsの分析によると、GAIAはまず「大規模フロンティア開発者」を規制の主要対象として定義しており、これは年間総収益5億ドル超かつ10²⁶FLOP以上の計算量でフロンティアモデルを学習させたエンティティを指します。プリエンプション条項の対象はモデル開発段階に限定されており、展開後の規制や一般適用法には適用されないという設計ですが、「開発」の定義が広いことへの懸念が残っています。FedScoopの報道によれば、法案はNIST傘下のAI標準革新センター(CAISI)を商務省内に正式設置し、自発的なセキュリティガイドライン策定と将来のAIシステム評価に年間1億ドルの予算を充てることも規定しています。
X上では「ビッグテックが喜ぶ法案」「消費者保護を骨抜きにする」との批判的ポストが拡散し、廃案を求めるハッシュタグも登場しています。r/politicsでは「州が独自に規制できなくなるのは危険」との反発が多数派で、賛成派は「統一ルールがない方が混乱する」と反論しています。Hacker Newsでは「監査義務やホイッスルブロワー保護は評価できるが、州法の先制は問題」という折衷的な意見が上位に並び、Americans for Responsible Innovationのブラッド・カーソン代表が「この法案は州のAI立法の現在の床を連邦の天井に変えてしまう、世代的な過ちだ」と述べたコメントが広く引用されています。
プリエンプション条項が最終的に法案に残るかどうかが、GAIAの実質的な消費者保護レベルを左右する核心問題です。AIガバナンスに関する連邦と州の権限争いは、今後の立法議論の最前線となっており、法案がどこまで修正されるかを業界・市民団体の双方が固唾を飲んで見守っています。