Anthropicのシリーズ(Series H)資金調達が完了し、評価額が9,650億ドルに達してOpenAIの8,520億ドルを初めて上回ったことがCrunchbaseの調査で明らかになりました。2021年の設立からわずか5年足らずで、後発のAnthropicがAI業界のバリュエーション首位に躍り出た形です。Crunchbaseによると、2026年Q1のAIスタートアップへのVC資金流入は3,000億ドルを超え過去最高を更新、全VC投資額に占めるAIの割合は33%に達しています。
この評価額逆転を「安全性重視路線への市場の評価」と読み解く声がX(旧Twitter)上で広がりました。AnthropicはClaude設計思想の中核に「Constitutional AI(憲法的AI)」を据え、安全性・透明性を競争優位として打ち出してきた企業です。同社のClaudeは月間アクティブユーザー5,600万人と数ではChatGPTに大きく劣るものの、前年比640%という爆発的な成長率を維持しており、投資家から「安全性と使いやすさを両立したプレミアム製品」として評価されているとみられます。
一方でr/wallstreetbetsでは「バブルか本物か」の論争が白熱しました。評価額で1兆ドルに迫る企業が両社ともいまだ黒字化を果たしていない現実を指摘するコメントが多数集まり、「AI軍拡競争に乗せられた過剰流動性の産物」との辛辣な分析も見られました。ただし、AnthropicのARR(年間経常収益)が急拡大中との報道もあり、収益化の時間軸に関する見方は投資家の間で分かれています。
「Anthropic・OpenAI双方がIPO準備中」との報道も重なり、AI大手の公開市場参入競争が投資家コミュニティの次の注目点になっています。どちらが先にIPOを果たすか、またその際にどのバリュエーションが市場に受け入れられるかは、今後のAI産業全体の資本市場へのシフトを占う試金石となりそうです。AI投資の急膨張が示す通り、市場はまだAI企業の成長ポテンシャルに強気な見方を崩していませんが、「利益なき高評価」への警戒感も着実に高まっています。