OpenAIは2026年6月8日、米証券取引委員会(SEC)に対して機密扱いのIPO申請書(S-1)を提出しました。現在の評価額は8,520億ドルを超えるとされる一方、2026年単年だけで140億ドルもの損失が見込まれており、黒字化は早くとも2030年頃になると予測されています。Anthropicが6月1日に同様の申請を行ってから1週間足らずで追随する形となり、2大AI企業が相次いで株式市場へ向かうという歴史的な局面を迎えています。
8,520億ドルという評価額の裏側にある財務実態は厳しいものです。年間収益ランレートはここ1年で急拡大しているものの、モデルの学習・推論にかかる計算コストと研究開発費が収益を大幅に上回り続けています。X上では「1ドル稼ぐごとに1.22ドル失う企業がどうIPOで評価される?」という皮肉なコメントが広く拡散しました。Anthropicが2026年第2四半期に初の黒字化を見込み、年間収益ランレートが約470億ドルに達しているのと対照的に、r/investingではAnthropicとOpenAIの財務状況を比較した分析スレッドが活発に展開されています。
Hacker Newsでは「2030年まで赤字が続くのに上場する意味は、初期投資家へのイグジット手段に過ぎない」という懐疑的な分析が多数の支持を集めました。OpenAIにはMicrosoft、SoftBank Vision Fundなど大規模な機関投資家が出資しており、IPOはこれらの投資家が保有株を換金するための出口になるという見方です。一方でAI投資ブームへの期待感も根強く、「損失拡大中でも上場後に高値がつく可能性がある」という楽観的な見方も根強く残っています。
機密申請という形式を選んだため、財務諸表の詳細は現時点では非公開です。上場申請が正式に公開される段階になれば、ChatGPTの収益構造や研究開発費の内訳が明らかになると見られており、その内容がIPO評価を大きく左右することになりそうです。